ILIDS(Interferometric laser imaging for droplet sizing)

球体による光散乱の理論(Mie散乱理論)については,こちらに詳しく書いてあります.

水滴に光が当たると何が起こるか.

透明球形粒子(液滴)による単色光の散乱光強度分布は,以下のように粒径依存性があります.

直径を0-10マイクロメートルまで変化させています.光源の波長は532nm(緑色)
横軸は散乱角をあらわし,0度が前方散乱,180度が後方散乱です. これをみると,前方30-80度付近に規則的な強度変動(干渉縞)が現れ,これが粒径に依存することがわかります.

透明球形粒子による光の散乱は,以下の式で求められます.(Mie散乱理論)
(注:一般にMie散乱といえば,波長に対して大きな径の粒子による光散乱を指し,散乱光強度は粒径の二乗に比例することが知られていますが,この理論ではより微小なレイリー散乱領域を含む任意の粒径に対する散乱光強度を計算できます.)

球体内の屈折率:$m_1$
球体外の屈折率:$m_2$
液滴では $m_2\sim 1$, $m_1\sim 1.33$ 程度
水中気泡では $m_1\sim 1$, $m_2\sim 1.333$
相対屈折率:$m = m_1/m_2$

画像撮影による多次元粒径計測

ある程度の大きさ以上($x>20$)の液滴による光散乱は,幾何光学近似によりあらわされます.
幾何光学近似では,反射光,屈折光などの和として,散乱光強度分布の計算を行います.

幾何光学近似による散乱光成分.

非焦点撮影による粒径分布計測

噴霧液滴の撮影例.左側が単純なデフォーカス撮影,右側がアナモルフィック光学系を用いた改良型計測法の撮影画像です.

連続画像撮影による粒径・速度の同時計測

微細な噴霧液滴や,液体の飛沫サイズおよび飛翔速度ベクトルが瞬時に計測できます.
この例では,ダブルパルスYAGレーザをもちいるフレームストラドリング撮影(カメラのフレーム切り替わりタイミングの直前と直後にレーザを2発焚く ,特殊なタイミング撮影手法)

ステレオ撮影による3次元計測

干渉画像法の三次元化です.
画像内全域で一定のピント外し状態を実現するために,Scheimpflug配置にしています.

Stereo ILIDS

水中気泡の干渉画像法

水中気泡によるレーザ光散乱

水中の気泡により計測される散乱パターン
気体中の液滴と異なり,相対屈折率が1以下となり,散乱パターンが大きく異なる.

水中気泡による光散乱

マイクロバブルのゼータ電位計測

水中微細気泡の表面は帯電していることが知られています. この電位と気泡周囲の界面活性剤濃度,およびその種類の関係について研究がされています.


レーザシート厚さの重要性

気泡の収縮や液滴の蒸発を計測する場合,ラグランジ的な計測を実行するためには,多時刻にわたって同じ粒子が画面内に映し出されている必要があります.そのためには,レーザーシート内に粒子が留まっている必要があります.
レーザシートを薄くすれば,光強度が増し明瞭な干渉画像が得られますが,一方で面外移動による像の消失が顕著になります. ラグランジ計測には,この調整が重要となります.

レーザシート厚さは一般に何ミリメートルと決めることはできず,粒子の濃度や奥行き方向速度の絶対値や撮影のフレームレートなど,多くの実験パラメータに影響されます.


薄いレーザシートを使用する場合.各粒子像の出現・消滅が頻繁に起こる.


厚いレーザシートの場合.数フレームにわたり,それぞれの粒子像が確認できる.