ERTは,電気抵抗トモグラフィーと呼ばれ,多数の電極を用いて物体内の電気抵抗分布を計測する手法である.
微弱な電気信号を計測することができるため,生体計測への応用が研究されている.
一般的に,電解質を溶解させた溶液や生体,高温のガラスでは,電子による電気伝導ではなくイオン伝導によるため,直流の電気抵抗ではなく交流インピーダンスを測定する.
そのため,EIT(Electrical Impedance Tomography)と呼ばれる場合もある.
また,類似の計測手法として,静電容量(キャパシタンス)の計測を行うECTもある.
ERTでは,測定する抵抗分布に応じて電流分布が変化するため,再構成の逆問題が一般的に非線形となる点において,X線CTとは異なる技術的難しさがある.
MATLABやOctabe上で動くEIDORSというソフトウエアを使って,再構成計算を行うことができる.
ガラスは常温においては良好な絶縁体であるが,高温においては電気伝導性を有し,その導電率は温度の関数となることが知られている.
この実験では,一定の電極形状,断面積における電気抵抗値を計測している.
電解質水溶液では,電気伝導率は周波数に強く依存するが,このガラス材料の場合は周波数に依存しない.
例えば,温度1100Kで,電気抵抗は約10Ω程度となり,半導体並みの低抵抗値となる.
ヒーター加熱炉中にるつぼを設置,熔融状態としたガラス中に電極棒を挿入する.
電極は高温に耐えられるニッケル基超合金(インコネル材)を使用.
16本の電極のうち,任意の2電極に定電流電源からの交流電圧を印加する.
アナログマルチプレクサ回路を用いて,順次交流電位を測定する.
高時間分解能を実現するためには,並列化された電位計測回路を用いることができる.
高温熔融ガラスは数Ω程度までインピーダンスが低下するが,電位計測回路の入力インピーダンスにも工夫が必要となる.